早期退職、気にはなるけど自分でもできるのかな・・・
『早期退職、考えるときもあるけれど、まだあまり具体的ではない』
『実際に早期退職したひとが身近にいないからあまり現実味がない』
『いつかは自分も・・・と密かに思ってはいるけれどまだ何も行動は起こせていない』
この記事ではそんな方々に、筆者Shiruvikoが実際に早期退職した経験から
・後悔しないための大事な準備
・考えておきたいメリットやデメリット
・退職後の生活の実際
などについてお伝えします。
筆者Shiruvikoは50歳になる年に30年弱勤めた会社を早期希望退職で辞めました。
あくまで私の場合なので参考になるかわかりませんが、ひとつのサンプルとなれば幸いです。
悩んだり考え中の方にお伝えしたいことが多すぎて長くなってしまったので、
サクッと読みたい方は『まとめ』へどうぞ。
早期退職制度の種類
いわゆる「早期退職」と言われるもの、私が以前に勤めていた会社では2種類ありましたが、どちらも早期退職と呼ばれていたように思います。
①早期退職(選択定年制度):定年までの残り期間が規定以下になった従業員が
定年退職以前に自分の意思で退職年齢を決めることができる制度
(定年退職扱い)
②早期希望退職:年齢や勤続年数などの定められた条件で会社側が募集し
従業員が自ら希望して退職するもの
(会社都合退職扱い、退職金の割り増し・再就職支援なども会社が用意、期間を定めて募集)
①の選択定年制度は確か55歳になったら人事部から研修という名の説明会があり
定年延長についての説明も同時に行われるらしい
(私はその前に辞めてしまったため上司などから聞いた話で
実際の制度に対しての説明は聞いていないので
なんともふんわりしていて申し訳ありません)
②の早期希望退職が私が退職した際の制度。
以前はもっと露骨に狙い撃ちのようなことをしていた時期もあったのですが
(全員と面談して辞めてほしい人にはそういう空気出すとか)
今はそのようなことをすると色々大変なので、割と緩い条件での募集でした。
「こんな条件出したらみんな辞めちゃうでしょ!?」と思ったのですが、そんなでもなかったです。
みなさん会社の愚痴はよく言うけど、そういう人は実はあまり辞めません。
私と同じ時に辞めた40代の人は割と黙々と活躍している人が多かったと思います。
つい最近も製薬会社の早期希望退職募集がニュースになったりしましたが、東京商工リサーチのデータを見ると、
2022年に早期退職募集を実施した上場企業は38社、募集人数は5,780人となっています。
上場企業が希望退職者を募る場合、退職金は割増があることが多いようですね。
わたしが早期退職した理由
私が勤めていた会社では、①の選択定年制度で早期退職を選ぶ人はあまり多くなく、
定年延長して働いている方がほとんどだったと思います。
60歳近くの年齢で新たな環境に飛び込むことはなかなか勇気が必要ですよね。
私自身の場合、実は45歳くらいから、60歳までこの会社にいることはないなと考えていました。
その時点では具体的に何をするのかはまったく定まっていませんでしたが、
60歳まで同じ会社で働き続ける選択肢はないということだけは、はっきりと決めていました。
理由としては、
①定年した後に「何もしない」ことが考えられなかった
②60歳を過ぎた後にやりたい仕事ができる可能性が非常に低く感じた
まず、65歳で年金をもらって隠居生活している自分のイメージが全く描けなかった。
毎日何すればいいの・・・?
そして例えば60歳、65歳までずっと同じ会社で働いた後
何か別の仕事をしようと思っても、多分私には難しい。
さらに、定年間際までバリバリ働いていた女性の方が年齢で線引きされて、
できる仕事から外されていく様子を目にしては
「年を取ったら会社ではやりたい仕事をやらせてもらえない」
という認識が強くなっていきました。
毎日がっつりでなくても何かちょっとしたことでいいから、人との関わりを持っていたい。
できれば人の役に立っていると感じられることがいいな。
65歳以降も働けるように準備しておいた方がいいだろう。
だったら早めに仕掛けを作っておかないと。
そういうことを考え始めたのが45歳付近だったと思います。
そこから、色々と準備を始めました。準備については後ほどまとめます。
実際のところ、やりたいことが見えてきて
「よし、じゃあ仕事をしながら準備を進めていこう」と考えていたところで
タイミングよく希望退職者募集がされたため
思っていたより準備ができていない状態で退職することになりました。
退職して、失業手当をしばらく受給しながら勉強して資格を取得
その後、個人事業主となりました。
退職後の手続き
退職した後、今までは会社で手続してくれていた諸々のことを自分で手続しなくてはいけなくなります。
私は退職後に別な企業に入るわけではないので、いったん失業者(お、おおぅ)となりました。
・健康保険→国民健康保険へ変更
・厚生年金→国民年金種別変更
この辺りの手続きは本当に企業で働いていると楽させていただいていたなぁとしみじみ思います。
その他にも
・失業認定
・iDeCo加入
・住民税納付
・確定申告
など、やらねばならないことが色々あり、
『よくわからないことなのに絶対にやらねばならない』
というモヤモヤで なんだか機嫌が悪くなりそうでした。
退職後の解放感よりこちらが強烈でした・・・。
大体の会社員の方はこの辺り、詳しくない人が多いと思いますので、
退職する前に人事の方によく相談しておくことをお勧めします。
私もリスト化してても何故か納付忘れがあったりしました。
退職時期や収入によってとにかく色々条件が変わるので、
たとえ人に訊いてもそれが自分の場合には正解じゃなかったりします。
よくわからないことは勝手に自分で判断せずにプロに聞く、教えてもらうこと、大事です。
人によって健康保険は任意継続にしたり、家族の扶養に入るパターンもあると思いますし、
退職後にまた別な会社で働く場合は厚生年金の手続きも企業でやってもらえますよね。
住民税も会社員の場合は給与から控除されているため、納めている実感が薄かったりしますが
退職すると自治体から納付書が送られてきて
『あー請求されてる~・・・うわぁ、高っ!!』となるのは、退職後あるあるのようですね。
実際に感じたメリット・デメリット
メリットとデメリット、あくまで私の場合ですが。
◆メリット
- やりたいことができる
- 心理的負担の激減
◆デメリット
- 収入が不安定
- 活習慣が一変する
- 年金の減少
- 規投資が必要な場合あり
以下、順に見ていきます。
まずメリットですが、
「やりたいことができる」
「心理的負担の激減」
の二つを挙げました。
なんならこのふたつだけで他のデメリットを全部打ち消すくらい、私にとっては大きなメリットです。
企業で働くということは、たとえやりたくないことでも会社の利益につながるならやることが求められます。
極端に言えば、それができないなら会社員で働かなくていいんじゃない、と思います。
管理職だった私はうまくこの辺りに折り合いをつけて長く会社員生活を歩んできました。
が、この先も「本当はそうしたくないことをしなくちゃいけない状況」に自分を置くのはもういいな、と。
特に、
自分が思う人としての理想のあり方みたいなことと、会社や上司から求められる行動が離れていくのは
やはり負担が大きかったと思います。
心理的負担が大きく減って、やりたいことができるようになり
何が変わったかというと、まず、普段感じていたちょっとした不調みたいなものが少なくなりました。
肩こりや腰痛、眼精疲労、肌や目の乾燥、目の下のクマ、胃痛、頭痛、微熱、下痢など
本当にびっくりするくらい減りましたね。
会社生活と同じくらいの時間、机に向かっているとしてもこういった症状が出なくなったことで
やっぱり気持ちと心はつながってるなぁぁぁと実感した次第です。
心の方で言うと、
余裕がある状態、
常に相手を受け入れる余白が空けられている状態がキープできていると思います。
不思議なものでこの余白が無いときに限って不機嫌星人と遭遇する確率が飛躍的に上がるので
日々が穏やかに過ごせることは私にとってすごく大きなメリットです。
できれば自分も不機嫌になりたくないし、貰い事故も避けたいので。
次にデメリットです。
やはり、収入の問題は大きいですよね。
今までキチンキチンと毎月入ってきたお金が入らなくなる…
それだけでかなりの恐怖を感じます。
早期退職の最大のネックになる部分だと思います。
また、生活習慣が大きく変わります。
厳密に言えば、変えないこともできますが変えても支障が無い状態になります。
朝起きなくてもいいし、毎日休日でも、逆に休日設定しなくてもいいという状況になるので
ある程度自分を律することは必要かと思います。
年金が減少するのも、給与所得が無くなることと同様、恐怖に感じる部分だと思います。
今まで頑張ってきたのに年を取ってから惨めな思いをしたくない、と考えるのも当然でしょう。
新規投資が必要な場合ありというのは、私の場合ですが
オンラインでコーチングを行うためにある程度自宅に設備を準備する必要があったためです。
具体的にはエアコンとかワークチェア、PC、WiFiルーターなどを用意しました。
他にも自己研鑽のため、学びの費用はかければキリがない程に
いくらでもかけられることを知りました。自己投資沼ですね。
これらのデメリットを考えたときに
・給与収入は減ってもその分長く働く。もし必要があればバイトなどでお金を得ることに抵抗無し。
・生活習慣は多分自分で何とかできそう。パートナーもいるし。
・年金の減少は痛いが、自助努力もする。今までも考えてきたし、この先も粛々と継続。
・新規投資は一時的なものでこの先ずっとかかるものではないし、経費として事業に赤字計上すればよい。
と考えると怖さがぐっと減って、冷静に検討することができました。
実際に役に立った!事前準備
45歳くらいから退職を考え始めたとお話した通り、
私の場合はある程度時間をかけて考えをまとめてきました。
そのため、実際に会社から「早期希望退職募集」のアナウンスがあったときにも
割と冷静に対応できたと思います。
実際に退職を選択することで、そこから先の生活はかなり変化します。
当然人によって大きく変わりますが
・事前の準備をどこまでしたら安心なのか?
・もし安心できないなら退職しないのか?
・たとえ事前準備が安心レベルに達していなくても辞めるのか?次の機会を待つのか?
自分の場合に落とし込んで考えておく必要があります。
ある程度は勢いがないと退職もできませんが、勢いだけでは後から燃料が尽きてしまうことも怖いので…。
私の場合、退職までに進めた準備は以下の通りでした。
- キャリアコンサルティング
- 職務経歴洗い出し
- FP相談
- 金融機関がらみ
- 健康関連
- お金の準備
①キャリアコンサルティング
②職務経歴洗い出し は共通しますが、外部の方にキャリア相談をしました。
転職エージェントやセカンドキャリア相談の会社、2~3社くらい。
それによって
自分では当然と思っていたスキルが実は他人から見ると価値があることに気付いたり、
職務経歴書でやってきたことを洗い出すことで
自分のやりたいことや得意なこと、逆にやりたくないことが見えてきたりしました。
これは退職しなくても役に立つこともあると思うので、
ある程度キャリアを重ねた方は転職や退職を想定していなくても一度やってみるといいかもしれないですね。
③FP相談
お金を払ってFP診断を受けました(福利厚生を利用しました)
今後のお金のことを考えるにあたって、プロのお話も聞いてみたかったからです。
結果、自分で考えていたこととそれほど乖離が無く、
これでいいのだ!
と思えたのでやってよかったです。
お金のことで決断できないと思っている人は受けてみることをお勧めします。
いくら稼げばいいのか、どんな生活がしたいのか
今後の生活を具体的にイメージすることでぐっと自分の未来の解像度が上がります。
④金融機関がらみ
やはり会社勤め正社員の信頼度は絶大なので、退職後フリーになった後に困らないよう口座開設をしておきました。
あとクレジットカードも日常生活用とは別に準備しました。
今後、事業の上で必要になりそうな気がしたので。
結果、口座は分けておいてよかったです。
カードは無くても何とかなったかも。
でも会計ソフトとの連携などを考えると、日常使いと別にしておいた方が楽なのは間違いないと思います。
⑤健康関連
歯の治療など、あらかじめやっておきましょう。
後々の気持ちの安心のためにも役に立ちます。
⑥お金の準備
正確に言うと辞めることを決めてからというよりはそれ以前からですが
資産運用について勉強して実際にコツコツお金を貯めること・増やすことに取り組んできました。
大声で自慢したいほどの大金持ちではないですが、もしこれが全く無ければ
やはり早期退職を選択することはできなかったでしょう。
希望退職なので多少退職金が優遇されるとは言っても、
生涯賃金で考えると結局会社に残って働く方が得する面が多いわけですから
不足する分については自分で何とかしていく意識は当然必要ではないかと思っています。
また、終身生命保険の残り金額を払い済みにしておきました。
今までは毎月、給与から引かれていましたがこれにより毎月の生命保険支払いが無くなります。
あと、とても大事だなと思ったことを最後にひとつ。
普段からパートナーにもきちんと自分の考えや希望を話しておくことも大事でした。
自分の考えを人に話してわかってもらうことっていきなりだと整理しにくかったりします。
自分がどう考えていて、この先どう動きたいのか、あらかじめ何度か言語化しておくことで
改めて自分で気付くこともあります。
当然、パートナーには誰よりも味方になってもらわないといけないですし、
十分に対話を重ねてわかってもらってから大きな選択をしたかった。
あと、これは会社の人たちに説明する時のプレゼンの予行演習にもなりました。
…地味にすごく役に立ちました。
退職後の仕事
退職後、どんな仕事をするのかについてもいくつか選択肢があると思います。
例として挙げるとざっくり、下の3つくらいが出てくるかなと思います。
- 転職
- 起業
- Fire
①転職について
「準備」のところでも書いた通り、エージェントの方とお話した時に転職も勧められました。
実際いくつかお話もいただきましたが、
退職前とあまり変わらない仕事(しかも収入はダウン)がほとんどで、
『それなら辞めないよね~』というツッコミをいつも心の中で入れていました。
よく言われますが40代、50代での転職は
しっかり準備して、マインドも今までとは一切入れ替える
くらいの気持ちで臨まないと厳しい面があると思います。
今までの経験で作り上げてきた
自分なりのポータブルスキル(職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキル)をしっかり認識して、転職先の企業でどう活かすか。
それがうまく活かせる転職先を選択して、面接の際に自信を持ってプレゼンすることが求められるはず。
私の場合はやりたいことが決まっていて、
企業に属さなくてもいいやと言うことも決めていたのでほとんど検討しませんでしたが
高齢化に伴って最近は中高年齢の人に特化した転職エージェントも増えているようです。
自分に合ったエージェントをうまく使いこなしたいところですね。
②起業について
起業や副業、ずいぶん身近になっていて、少し調べるだけで情報もたくさん得ることができます。
私自身は鼻息荒く「起業!」と元気よく起業するわけではなく
ひっそりと(笑)個人事業主を選ぶことになったのですが
自治体の起業支援などは参考にしました。
セミナーや起業相談など、個別に色々聞けてとても頼りになりました。
私個人の意見ではありますが、年々働く人口が減っているのだから
いくつか仕事をする必要や需要も今後さらに上がっていくのではと思います。
ある程度の社会人経験を重ねてからの起業なので、
今までの経験を活かすことができる分野だと活躍しやすくていいと思います。
たとえ全くの異業種であっても、今までの経験が活きる場面は絶対ある!と、思っています。
③Fireについて
「仕事」ではないのですが、割と興味のある方が多いのではと思います。
必要なお金を準備して、運用していくことで職に就かずとも生活できる、ということですが・・・。
いわゆるFireで、完全に仕事をしないで暮らすということには、私自身は魅力を感じませんでした。
仕事+運用益で、会社勤めではない働き方を選択できるようにする
という考え方には賛成です。
でもまだ当分は仕事していくつもりだったのであまり本気での検討はしなかったです。
人とのつながりを持ち続けることって結局は健康にもいい影響を与えてくれるものだと考えているので
ゆるくサイドFireみたいな考え方でこの先も働いていくのが現実的なんだろうなぁと思っています。
まとめ
【早期退職を決める前に大切なこと】
・メリット&デメリットを両方しっかり検討する(偏り厳禁、できる限り客観的に)
・忖度なしで聴いてくれる誰かに話して自分の気持ちを整理してみる
(ごく身近な人、またはまったくの第3者も◎)
・事前準備がどこまでできたら決断できるのか具体的に考えておく
(次の仕事の仕込み、金銭面、副業、家族の状況など)
・職務経歴や自分の持つスキルを振り返って洗い出しておく
・お金、貯めておく
・FP相談やキャリアコンサルティングなどを受けてみる
【辞めることを決めたら】
・退職する前に人事の方によく相談しておく(手続き関係)
・役所に相談(社会保障関連など)
・「社員証」が必要な場面を思いつく限り片付けておく(退職後はこの切り札は使えません)
・次の仕事の準備をしておく
・金銭的準備をしておく
・健康保険や福利厚生は使えるうちに
以上、私の場合に役に立ったなと思ったことをまとめてきました。
きっとここまで読んでくれた方は早期退職について
色々迷ったり、たくさん考えていることだと思います。
考えてみれば大人になって就職してから
自分の行く先を自分で全部選ぶ機会ってあまり無かった気がしています。
退職を選ぶ
残ることを選ぶ
どちらにしても
しっかり向き合って悩んでみて、手に入るものは結構大きい!!
のほほんと流されていた毎日では手に入らなかったものをきっと手にできるはずです。
応援しています!!!