専門実践教育訓練給付金について、もうちょっと詳しく解説!

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教育訓練給付金について、自分で給付を受けたときに調べたことを前の記事でまとめました。

すごく情報量が多くて、まとめきれなかった部分があったので、

ここでは専門実践教育訓練給付金について改めて詳しくまとめたいと思います。

専門実践教育訓練給付金は『労働者の中長期的なキャリア形成を支援する』ことを目的とした

対象講座が2,820講座、用意されています(令和5年4月1日時点・厚生労働省発表)。

業務独占資格や名称独占資格などの資格の取得を目的とした養成課程、

商業実務や衛生、工業関係など専門学校の職業実践専門課程及びキャリア形成促進プログラム、

大学等の職業実践力育成プログラム、

AIやデータサイエンス、セキュリティなど第四次産業革命スキル習得講座など

専門的な内容の講座が多く、そのため受講期間も長めです。

給付される金額も最大で70%と大変大きくなっています。

私が受講した「キャリアコンサルタント養成講座」も専門実践教育訓練給付の対象でした。

私が申請した時の経験や、迷って問い合わせした内容、

また、現役の国家資格キャリアコンサルタントとして

ちょっとしたアドバイスも合わせてお伝えしたいと思います。

ここでは講座の選び方申請書類申請の手順必要なもの注意点などについてまとめてあるので

これから勉強を始めたい方や、専門実践教育訓練給付金を検討している方に、

少しでもお役に立てればうれしいです。

目次

専門実践教育訓練給付金とは

勉強

【目的】

労働者の中長期的なキャリア形成を支援するため

【対象者】

(1)雇用保険の一般被保険者等

専門実践教育訓練の受講開始日に、支給要件期間(同一の事業主に一般被保険者等または

短期雇用特例被保険者として雇用された期間)が3年以上ある方

(2)雇用保険の一般被保険者等であった方

一般被保険者等の資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日までが1年以内であり、

かつ、支給要件期間が3年以上ある方

※過去に教育訓練給付金を受けたことがなく、初めて専門実践教育訓練給付金を受給しようとする方については、支給要件期間が2年以上あれば受給可能となります。

※平成26年10月1日前に教育訓練給付を受給した場合は、その受給にかかわる受講開始日から、今回の受講開始日までに、通算して2年以上の被保険者期間が必要です。

受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付金の支給を受けたことがある場合は、専門実践教育訓練給付金は支給されません(ただし、平成26年10月1日よりも前に教育訓練給付金の支給を受けた方に対しては、この取扱いは適用されません)。

【対象講座】

中長期的なキャリア形成に資する専門的・実践的な教育訓練として、厚生労働大臣が指定した教育訓練

(1)業務独占資格、名称独占資格の取得を目指す養成施設の課程【訓練期間原則1~3年で、かつ取得に必要な最短期間(法令上の最短期間が4年の管理栄養士の課程及び法令上の最短期間が3年の養成課程であって定時制により訓練期間が4年となるものを含む。)】

看護師、介護福祉士、保育士、建築士など、業務独占資格、名称独占資格の取得を目指す課程のうち、国又は地方公共団体の指定等を受けて実施され、修了によって資格取得、資格試験の受験資格の取得又は資格試験の一部免除が可能となる課程

(2)専門学校の職業実践専門課程及びキャリア形成促進プログラム【訓練期間2年(キャリア形成促進プログラムは120時間以上2年未満)】

工業、医療、商業実務など、専修学校の専門課程のうち、企業等との密接な連携により、最新の実務知識などを身につけられるよう教育課程を編成したものとして文部科学大臣が認定した課程、大学等における社会人や企業などのニーズに応じた実践的・専門的なプログラムとして文部科学大臣が認定した課程

(3)専門職大学院【訓練期間2年(資格取得につながるものは、3年以内で取得に必要な最短期間)】

(4)職業実践力育成プログラム【正規課程は訓練期間が1年以上2年以内、特別の課程は訓練時間が120時間以上かつ訓練期間が2年以内】

(5)情報通信技術に関する資格取得を目標とした課程【訓練時間が120時間以上(ITSSレベル4相当以上のものに限り30時間以上)かつ期間が2年以内】

(6)第四次産業革命スキル習得講座(訓練時間が30時間以上かつ期間が2年以内)

(7)専門職大学・専門職短期大学・専門職学科の課程【大学:4年以内、短期大学3年以内】

【支給金額】

教育訓練経費の50%(年間上限40万円)

※4,000円を超えない場合は支給されません

給付期間は最大3年、6か月ごとに支給申請に基づいて支給

【追加支給】

受講修了後に受講した専門実践教育訓練が目標としている資格取得などをし

修了日の翌日から1年以内に一般被保険者等として雇用された場合(または既に雇用されている場合)は、

さらに教育訓練経費の20%にあたる追加支給を受けることができます。

この場合の支給額合計は、最大で教育訓練経費の70%(年間上限56万円)となります。

【支給申請先・時期】

給付期間は最大3年で、6か月ごとに支給申請に基づいて支給されます。

教育訓練を受講した本人受講中(6か月ごと)と受講終了後受講終了日の翌日から1か月以内

本人の住居所所管のハローワークに申請。

専門実践給付金のみ、講座受講中から支給されます

【条件・そのほか】

受講開始1か月前までに訓練前キャリアコンサルティングを受けジョブ・カード交付を受ける必要があります。

受けていないと申請書類が用意できませんので忘れないよう注意が必要です!

★45歳以下、離職中なら教育訓練支援給付金の給付も受けられます。

①初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する

②受講開始時に45歳未満の離職者(一般被保険者でなくなって1年以内)

③受講する専門実践教育訓練が通信制または夜間制ではないこと 

等の一定条件に当てはまる方に対しては

基本手当(失業給付)受給終了後、基本手当日額相当の80%の教育訓練支援給付金が

教育訓練が終了するまで支給されます。※令和7年3月31日までの時限措置教育訓練

参照:ハローワークインターネットサービス

自分が対象者なのか確かめたいとき【支給要件照会】

自分が支給の条件に当てはまるのか、受けたい講座が給付金対象なのか

あらかじめ確認することができます。

それが「支給要件照会」です。

こちらも居住地のハローワークで可能です。

詳しいやり方などはこちらの記事でご紹介しています。

受講する講座を探したいとき

受講する講座を探したいときには

教育訓練給付制度厚生労働省指定教育訓練講座検索システム

で検索できます。

「講座・スクールを探す」の画面で

・フリーワード

・実施方法(通学昼間、通学夜間、通学土日、通信、eラーニング)

・地域

・期間

・経費

・講座、教室の条件(女性受給者割合が多い、託児所あり)

の条件を入れて絞り込みが可能です。

期間、経費や受講できる教室、詳細情報について調べることができます。

講座名のところに【一般】【特定一般】【専門】の記載があります。

同じスクールで「専門」と「一般」など複数の講座を開講していることもあるので

間違えないように確認しましょう。

「受講開始日」って?学習を始めた日のこと?

カレンダー

何度か出てきている「受講開始日

実際に通学する場合はわかりやすいのですが

通信講座やeラーニングのときは自分が受講を始めた日なのかというと、実はそうではありません。

これもしっかり決まっています。

・通学制の場合・・・教育訓練の所定の開講日

・通信制の場合・・・教材などの発送日

つまり、自分が受講を始めた日ではなくて「指定教育訓練実施者が証明する日」です。

例えば・・・

『eラーニング講座に申し込みをして、送られてきたテキストを1か月放置。

初めてログインしたのが1か月後だからその日が受講開始日』になるか、というとならないわけですね。

申請書などには必ず記載することになるので間違えないようにしましょう。

「教育訓練費」に含まれるものって?

お金

支給金額は「教育訓練経費の50%」となっています。

教育訓練経費に含まれるものは以下の通りです。

対象になるもの

入学料 + 受講料 の合計(申請者本人が教育訓練実施者に対して支払)

対象にならないもの

・検定試験の受験料

・受講に当たって必ずしも必要とされない補助教材費

・教育訓練の補講費

・教育訓練施設が実施する各種行事参加のための費用

・学債など将来受講者に対して現金還付が予定されている費用

・受講のための交通費

・パソコンなどの器材の費用

・クレジット会社に対する手数料

・支給申請時点での未納の額

「対象にならないもの」は当然と言えば当然なのですが、

受験料などはもしかして該当するのかも?と思いがちな気もしますね。

もし不正受給になると、支給停止・返還命令・納付命令・処罰となります。

注意しましょう!

訓練前キャリアコンサルティングとは

専門実践教育訓練給付対象の講座に申し込みをするときにはあらかじめ

訓練前キャリアコンサルティングを必ず受けなくてはなりません

ここで「就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードの交付」

を受けないと受給資格確認申請ができないのです。

しかも、受けるタイミングにも期限が定められています。

大事なポイントになりますのでこちらの記事で詳しく解説しました

申請のタイミング・必要書類など【ちょっとだけ要注意】

ステップアップ

専門実践教育訓練給付金は

①受講開始日1か月前までに行う手続き

②支給申請手続き 受講中+受講修了

③追加申請手続き ※当てはまる人のみ

必要に応じて3回以上の申請が必要となります。

いずれも住居所のハローワークに本人が行うことが原則となっています。

申請のタイミングはそれぞれ以下の通りです。

①受講開始日1か月前までに行う手続き

・・・受講開始日(開講日または教材発送日など事業者指定日)の1か月前まで

②支給申請手続き 受講中+受講修了

受講中・・・受講開始日から6か月ごとの期間(支給単位期間)の末日の翌日から起算して1か月以内

受講修了・・・受講修了日の翌日から起算して1か月以内

③追加申請手続き ※当てはまる人のみ

追加給付(資格取得等し、かつ修了した日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された場合)
・・・専門実践教育訓練を修了し、資格取得等し、かつ、被保険者として雇用された日の翌日から起算して1か月以内(被保険者として雇用されている方は、専門実践教育訓練を修了し、かつ、資格取得等した日の翌日から1か月以内)

詳しくはハローワークにお問い合わせください。

それぞれについてざっくりの内容と必要書類をまとめます。

①受講開始日1か月前までに行う手続き

訓練前キャリアコンサルティングで交付された『ジョブ・カード』と

『教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票』を

本人の住居所を管轄するハローワークに提出します。その他の必要書類は以下の通りです。

教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票の用紙はハローワークで配布しています。

※ジョブ・カードは発行から1年以内のもの

①受講開始日1か月前までに行う手続き 必要書類

  1. 教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票
  2. ジョブ・カード(訓練前キャリアコンサルティングでの発行から1年以内のもの)
  3. 本人・住居所確認書類及び個人番号(マイナンバー)確認書類
  4. 写真2枚(最近の写真、正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)
  5. 払渡希望金融機関の通帳またはキャッシュカード(「払渡希望金融機関指定届(教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票に記載欄があります。)」に払渡希望金融機関を記載。なお、雇用保険の基本手当受給者等であって既に「払渡希望金融機関指定届」を届けている方は、記載不要です。一部指定できない金融機関があります。ゆうちょ銀行は可能です。)
  6. 専門実践教育訓練給付及び特定一般教育訓練給付再受給時報告(過去に専門実践教育訓練給付及び特定一般教育訓練給付を受給したことがある場合に必要です。)

②支給申請手続き 受講中+受講修了】【③追加申請手続き ※当てはまる人のみ

②専門実践教育訓練の教育訓練給付金の支給申請手続きは

教育訓練を受講した本人が受講中及び受講修了後、原則本人の住居所を管轄するハローワークに対して

下記の書類を提出することによって行います。

③追加給付は『資格取得等し、かつ修了日の翌日から1年以内に被保険者として雇用された場合』に申請可能です。

例えば・・・

『離職中に受講し講座修了後に資格試験を受けてみごと合格、半年後に就職決定』したAさんの場合は

◆受講中・修了後に申請 →教育訓練費で支払った全額の50%給付

◆雇用された日の翌日から1か月以内に追加申請 →教育訓練費で支払った全額の20%追加給付。

※ハローワークに確認したところ、この雇用保険加入は対象資格に関連する就職でなくてもいいそうです。

『仕事をしながら講座に通って給付を受けていた』Bさんの場合は

◆受講中・修了後の申請+追加申請 →教育訓練費で支払った全額の70%(50%+20%)給付。

いずれにしても申請期限は雇用保険加入または講座修了から1か月以内なので注意が必要ですね。

 【②支給申請手続き ③追加申請手続き 必要書類

  1. 教育訓練給付金の受給資格者証(教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証)
  2. 教育訓練給付金支給申請書
  3. 受講証明書又は専門実践教育訓練修了証明書
  4. 領収書
  5. 返還金明細書(「領収書」、「クレジット契約証明書」が発行された後で教育訓練経費の一部が教育訓練施設から本人に対して、還付された(される)場合に必要)
  6. 資格取得等したことにより支給申請する場合は、資格取得等を証明する書類
  7. 専門実践教育訓練給付最終受給時報告(専門実践教育訓練に係る最後の支給単位期間について教育訓練給付の支給を受けようとする場合に必要です)
  8. 専門実践教育訓練給付追加給付申請時報告(専門実践教育訓練修了後、資格取得等したことにより支給申請した場合に必要です)

※詳しくはお住まいの地域を管轄するハローワークにご確認ください。

少しだけ複雑ですが、申請手続き自体は難しくないので確実に進めれば大丈夫です。

①講座受講開始1か月前の手続き

②講座受講中・修了後1か月以内の支給申請

③追加給付の手続き

忘れないようにしましょう!

適用対象期間の延長

事情により受講を開始できない場合、適用対象期間を延長できます。

被保険者であった方のうち、離職日の翌日以降1年間のうちに、妊娠、出産等の理由により引き続き30日以上
教育訓練の受講を開始することができない場合は、ハローワークに申請することにより、離職日の翌日から受講開始日までの教育訓練給付の対象となり得る期間(以下、「適用対象期間」という。)を、その受講を開始できない日数分、延長することができます。

(※) 被保険者とは、一般被保険者及び高年齢被保険者をいいます

厚生労働省

専門実践教育訓練給付金を上手に利用しよう

専門実践教育訓練給付金について詳しく見てきました。

スキルアップしたい!!という気持ちになった今この瞬間が

チャレンジに最適なタイミング!

専門実践給付金は少し手続きに注意が必要ですが、支給額も大きくて

資格取得後の雇用保険加入で追加支給もあって心強く

試験勉強や就職活動のモチベーションにもつながります。

ぜひ上手に活用したいですね。

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